Huawei MatePad 11 + Smart Keyboard + M-Pencil 2
Huaweiのハイエンドタブレット端末がちょっと変わりました。HarmonyOS 2を搭載したのもそうなのですが、自社SoCであるKirinを載せずQualcommのSnapdragon 865を搭載しています。半導体供給不足の影響がこんなところにも。
でも、実際見た目はHuaweiのタブレットそのものですし、120HzでヌルヌルなLCDなどの特徴も健在です。日本市場では事実上、2019年モデルのMatePad Proの後継と考えてよいでしょう。アイルブルー (Isle Blue)という新色のボディカラーは、これまでよりトーンが明るめで夏っぽいです。
純正キーボードがUS-ASCII配列なのも個人的には評価の高いポイントですが、ここはJIS配列ユーザーからは敬遠されるポイントでもあるので難しいですね。また、M-PencilがGen.2となり、ペン先が透明になりました。4096段階の筆圧検知レベルなどは健在です。
キーボードがあることそれ自体はいいのですが、Shift-↑やShift-↓でのテキスト選択ができないのが結構ストレスあります。Shift-←/Shift-→でしかテキストを選べません。Androidのテキストボックスにはこのような制約はなかったはずなので、EMUI側の問題っぽいです。
Adobe Photoshop Sketchはもうすぐサービスが終了してしまうため(※後継のFrescoのAndroid版は用意されない)、Autodesk Sketchbookを軽く設定して描いてみると案外iPadと遜色なく描くことができます。
Google Mobile Services (GMS)について
最初からのHarmonyOS 2.0/EMUI 11搭載端末ということで、今のところGoogle Mobile Services (GMS)を導入する抜け道は見つかっていないです。ただ、MicroGなどの互換レイヤーやGSpaceなどのような仮想マシン(VM)、そしてAPKPureやAPKMirrorなどのapkダウンロードサービスのおかげで、実用的に困ることはほぼないんじゃないでしょうか。
米国前政権の対中制裁のおかげで、アメリカのハッカーたちはこのタブレット(やP50 Proなどの初期EMUI 11搭載端末)を買えておらず、結果的にGooglefierなどのようなプロジェクトで進展が得られていません。
GMS導入に関しては筆者自身も現時点でいろいろ試行はしておりまして、Google アカウントにログインしてSafetyNetをパスできている状態で、Google Play Storeを立ち上げるとログインボタンから進めない、というような状態までは行けています。あともう一歩という感じなのですが、その一歩が難しいですね。
ただ、HarmonyOSの実態はAOSP Androidであり、Androidである以上は必ず抜け道が見つけられる状況にあるとは思いますので、GMSを使いたい皆様は世界のハッカーたちにもう少しだけ時間をください。
蛇足となりますが、同じ最初からHarmonyOS 2.0/EMUI 11搭載端末の『P50 Pro』などのP50シリーズでGMSが導入できているのは、携帯電話網に接続できるセルラー版だからというのが理由として大きく、これはいわゆる『LZPlay』(谷歌服务助手)が初期段階でセルラー網へ接続できるかを試行するためにWi-Fi版の端末(つまりMatePad 11)では初期処理が失敗してしまうからです。内部的にLZPlayを呼び出す『Googlefier』がうまく行かないのもこれが理由です。
Google互換レイヤー『MicroG』を使う
先に紹介したMicroGを実際に導入してみましょう。MicroGはGMSを導入できない端末でGoogleのサービスを使うための互換レイヤーとなっており、Google Service Framework (GSF)やGoogle Play 開発者サービスなどの互換機能を持っています。具体的には、APKMirrorなどから導入した野良アプリのpush通知が飛んでこないことなどが改善されます。
Huawei端末で使う際は、このMicroGのコアにパッチをあてたものが必要です。コンパイルしたものを下記に掲載しておきます。
- MicroG Huawei Fix (EloyGomezTV版) (※ソースはこちら)
- MicroG Service Core
- MicroG Services Framework Proxy
- MicroG DroidGuard Helper
- MicroG Store (FakeStore release)
上記のファイルを順にインストールしていけばOKで、すべてインストールし終わったら『MicroG Settings』を開いてGoogleにサインインし、Cloud Messagingの設定をONにするとアプリへのpush通知も来るようになるはずです。
MicroGは『Gspace』のようなarm64向けAndroid エミュレータと異なり、ネイティブの互換レイヤーなのでこのように細かな使い勝手を向上させてくれます。
反面、Google Playでの課金周りのような処理はできないので、これはGspaceなどのほうが得意です。
使い分けることで存外純正GMSがなくても生きていける環境を作ることができると思います。