LG WING 5G - LM-F100N
LG最後のスマートフォンとなった、LG WINGを買いました。スイベルして2画面になる、いわゆるところの変態携帯電話です。
これまでに数多くフォルダブルなデュアルスクリーンの携帯電話を使ってきましたが、結局のところ使いやすいのはスレート形状の縦持ち携帯電話だと思います。横開きのフォルダブルは人間工学をまったく考えていない非人道的な携帯電話で、曲げられるポリマー式のOLEDがもっと安価になった際、普及するのは縦開きのGalaxy Z Flip系のフォルムのものではないかと思っています。
WINGは通常時は普通のシングルスクリーンなスレート型、必要なときだけスイベルさせてサブ画面を取り出すという、ほかにないアプローチでこの問題に正面から取り組みましたが、最終的にはこれを最後に携帯電話事業そのものから撤退してしまいました。
LGはこれまでもThinQシリーズなどで一風変わったデュアルスクリーン端末を訴求してきていますが、WINGはその集大成となった〝作品〟です。
本体性能としてはSnapdragon 765Gに8GB/128GB(※北米には256GBストレージのバリアントがあります)とミドルハイな感じのスペックです。変わっているのはずばりカメラで、スマートフォンでは世界初となる6軸のジンバルカメラとなっていて、ブレのない極めて安定した動画を撮ることができます。Vlogやライブ配信にかなり向いたカメラといえるでしょう。
業界最大級に近い筐体サイズを持つGalaxy Note20 Ultraよりも大柄な筐体で、メインスクリーンはWacom AES方式のペン入力にも対応しています。このメインスクリーンは(折りたためないにも関わらず)ポリマー式のOLED (POLED)で、全体として他社のフォルダブルよりかなり薄く作られています。SoCのクラスはともかく、フラッグシップとして開発されたという気配があります。
2つの画面と背面の全面保護フィルム3枚セットは、ミヤビックスさんのTPU光沢フィルムくらいしか選択肢がなかったのですが、背面は元がマットな質感で、その上に光沢のフィルムなので偏光率が変わって見た目の色が結構変わります。マットなTPUフィルムが欲しいですね。
画面2枚をぶち抜く壁紙を作ると、このような感じでインパクトのある壁紙が作れますが、この際に注意したいのは2枚の画面は同じppiではなく、サブ画面のほうが若干大きめのppiになっています。ですので、メイン画面のほうの画像を0.95倍くらい縮小するよう計算する必要があります。
2枚の画面の活用法ですが、デフォルトとなるサブ画面が下に来るレイアウトより、メイン画面を盾持ちにしてサブ画面が右に来るレイアウトのほうが、いろいろな作業をやりやすいです。これだとサブ画面にYouTubeとかTwitterなどを表示してながら見しつつ、メイン画面で本来やりたい作業をいつもどおりの画面比率で行うことができます。
デフォルトのサブ画面が下のときに使いやすいのはカメラです。この状態でカメラを起動すると、最初からジンバル撮影モードでカメラが起動して、ものすごい安定感のある撮影や上下左右の全方向にパンすることなどが可能になります。
メイン画面のみ対応しているWacom AES方式のスタイラスペン入力ですが、LG純正のものはさすがに日本では入手できないので、筆者はWacomのBamboo Ink Plusを使っています。
日本の5GやVoLTEを掴ませる
LGの最近の端末は、5G対応ではありますが販売当該国の5Gしか掴めない傾向があります(VoLTEも同様です)。キャリア版ではないSIMロックフリーの端末であれば、HiddenMenu画面のFieldTestモードから簡単に5Gを掴ませることができますが、LG WINGは韓国でも米国でも販売ルートがキャリアという比率の高い端末ですので、ちょっと複雑な手順を踏んで掴むバンドを変更する必要があります。WINGに限らず、基本設計がほぼ共通しているVELVETも同じ手順でできると思います。
なお、HiddenMenuはダイヤラーから #*462633*#100# で出せます。また、Service Menu (デバッグスクリーン)は同様に 5457#*100# で出せます。
筆者の端末はLG U+という、(日本で言えばahamoのような)メガキャリアのサブブランドが販売したバリアント(キャリア版)なので、HiddenMenuからFieldTestが消されています。米国のキャリア版も同様っぽいです。
このような場合、通常は書き換えることができないEFS領域やNV領域を直接いじって対応バンドを変更する必要があります。本当はBootloaderがアンロックできればもっと手っ取り早いのですが、LGは公式のアンロックサービスを2021年12月に終了させてしまっています。
前準備をやっていきましょう。
Bootloaderのアンロックはできないものの、BootloaderをOEMアンロックできるフラグを立てておくことはこのあとの作業のためにとても重要で、USBデバッグ設定とともに開発者向けオプション画面から有効にしておく必要があります(これがないとEFS/NVに書き込みできません)。
そして、HiddenMenuのSVC Menuから、LDBの項目へ入ってUSB debuggingを有効にしておきます。これでdiagモードという特殊なモードを触れるようになります。電話機側の準備はここまでです。一度再起動しておくとより確実かもしれません。
『LG United Mobile Driver』を https://androidfilehost.com/?fid=24269982087003167 からダウンロードして、PCへインストールしておきます。
『.NET Runtime 3.1.22』の〝インストーラー〟版を https://dotnet.microsoft.com/ja-jp/download/dotnet/3.1 からダウンロードして、インストールしておきます。x64かx86に関してはWindowsが64ビットか32ビットかなので、そこで見分けてください。
昔はここでQPSTを使ってCOMポートを追加してPDCを使おう! みたいなクソ難しいことを書かねばならなかったのですが、今は『EfsTools』という便利なツールが出ているので、https://github.com/JohnBel/EfsTools/releases からダウンロードします。デスクトップに『EfsTools』などとわかりやすいフォルダ名を付けて解凍しておいてください。
このフォルダに、mcfg_autoselect_by_uim というファイル(※このファイルは0バイトで合っています)と、以下の表組みの中からお使いのキャリア(MVNOの場合は親元のMNO)と合致するものを選んで mcfg_sw.mbn というファイルをダウンロードしてください。
| キャリア | リンク | 備考 |
|---|---|---|
| docomo | ダウンロード | ※ahamo含む |
| au | ダウンロード | ※povo/UQmobile含む |
| SoftBank | ダウンロード | ※LINEMO/Y!mobile含む |
| 楽天モバイル | ダウンロード | ※MVNOの楽天モバイル含まず |
独自のMCC/MNC (HNI)を持っているMVNO (例としてはIIJなど)の場合はそれに応じたファイルを用意する必要があります。ただ、現状では5GやVoLTEに繋がる(HNI持ちの) MVNOは多くなく、その場合は mcfg_sw.mbn のほうは要らないと思います。
では、実際に書き換えていきましょう。
電話機本体とPCをUSB接続し、(デバイスマネージャなどでエラーがないことを確認して) Windows-Xキーなどから管理者権限のPowerShellもしくはコマンドプロンプトを開いて、cd コマンドなどで先ほどの『EfsTools』フォルダを開きます。それから、下記のように打ってテストしてみましょう。
C:\... > .\EfsTools.exe efsInfo
これでEFSの情報が取れているようならOKで、何らかのエラーが出ているなら環境構築に失敗しています。この場合はエラー箇所を修正する必要があります。
EFSの情報が表示されていたら次に進みます。
C:\... > .\EfsTools.exe writeFile -i mcfg_autoselect_by_uim -o /nv/item_files/mcfg/mcfg_autoselect_by_uim
これでMCFGをSIMによって自動構成するよう命令するファイルを書き込みました。
次はMCFGの書き込みです。
C:\... > .\EfsTools.exe uploadDirectory -i mcfg_sw.mbn -o / -v
これが正常完了したら、電話機側を再起動してください。
再起動後、VoLTE設定が『設定』画面に表示されているかどうか(ネットワークとインターネット > 通話 > その他の設定)、ステータスバーのアンテナピクト、Service Menu の Debug Screen に NR5Gのセル情報が出ているかどうかなどで、成功したかを確認できます。成功した方、おめでとうございました。
ちなみに、MCFGは利用するキャリアに合わせて複数アップロードしておくことも可能です。その場合は、上記の mcfg_sw.mbn を例えば mcfg_sw_docomo.mbn と mcfg_sw_softbank.mbn の2つにして、書き込みコマンドの uploadDirectory -i のあとを調整して2回処理を行えばよいです。また、日本のキャリアでない場合など上記以外のキャリアのときは、Google検索などで探してみましょう。




