ROGさん、値上げをありがとう! 背中を押されてROG Flow Z13を買った話
Intel Core i9-12900H 5GHz(TB), 16GB LPDDR5-5200, 1TB PCIe3x4 SSDという、鬼のような構成のROG Flow Z13シリーズの最上位モデルを買いました。4月15日に当日実施の値上げが発表され、背景には世界情勢による為替相場の変動、それによる仕入れコストの上昇があるようではありますが、30万を超えられると固定資産になってしまうのでよくないので、値上げの遅れていた扱い店で買いました。
ROGさん自体は悪くないので、この化け物みたいなスペックの2-in-1タブレット型ゲーミングPCというキワモノがどういうものなのかをレビューしていきたいと思います。過去にはROG Phone 5をいただいたりと日頃からROGさんには感謝しています。
ぼくが日頃から愛用しているRazerさんのデバイスはわりと主張の少ないゲーミングPCで、RAZER CHROMAというLED同調発光システムもキーボードが様々な光り方をする程度です。対するASUSさんは、もう外装からキーボードから、隙あれば全体がASUS AURA SYNCというLED同調発光システムで光りまくります。ゲーミングPCとしての立ち位置からして異なる両社ですが、ぼくはどちらもありな立ち位置です。
外観は、マジかっこいいです。表面から見ると、超狭額縁なフルビューLCDが目に入ってきます。背面を見ると、実際の基板が露出してAURA SYNCで光るウィンドウ付きのソリッドなデザインが目を惹きます。AURA SYNCはフルカラーLEDによる発光なので様々な色を再現することができますが、結果的に今使っているのはシステム負荷によって色の変わるモードです。
Game ChangingなAlder Lake世代のPC
ぼくのRazer Stealth Blade 13はKaby-Lake Rの第8世代Core i7-8550U搭載で、DDR4-2400の16GB、PCIe3x4の1TB SSDという構成なので、大きく変わったのはAlder Lakeの第12世代Core i9-12900Hという、コンピュータの頭脳そのものでしょう。
第8世代Coreでメニーコアとなって速度が倍増したときのような変革で、第12世代Coreはパフォーマンス・コア(Pコア)というこれまでのCore、エフィシェント・コア(Eコア)というこれまでのAtomを融合したアーキテクチャになっていて、i9-12900HではPコアが6基、Eコアが8基という合計14ものコアを搭載しています。HTが効くとPコアが12スレッドになるので、合計20スレッドとして扱えます。これによって、シングルスレッドでも第11世代の同格比1.5倍近いベンチマークを叩き出すモンスタースペックを実現しています。もうちょっと机上の性能だけでは何がモバイルなんだか分からない。少なくとも、第9世代以降の失敗の連続で大きく水をあけられたAMD Ryzenとの差を埋めるには充分そうな働きです。
たとえば、こんなようなブログの文章を書く程度のことを旧CoreプロセッサであるPコアがやる必要はないわけで、旧AtomプロセッサであるEコアが担当してくれるので、冷却システムが稼働することもなく、PCとしてはほぼ完全に無音です。しかも省電力です。
そして、ぼくの親愛なるPUBGを立ち上げると、i9-12900Hの全力20スレッドが唸りを上げdGPUであるGeForce RTX 3050 Tiがおまえ薄型2-in-1を何だと思っているんだというほどの描画スペックを叩き出し始めます。同時に、ベイパーチャンパーと液体グリスを組み合わせた簡易液冷システムが稼働して、本体上部にまとまった発熱部を強烈に冷やし始めます。
見た目には本当にちょっといかついSurfaceなんですよ。しかし、確実にSurfaceとは異次元のゲーミング性能を叩き出します。
で、ぼくみたいなアマチュアゲーマーでプロクリエイターみたいな人間にとってゲーミング性能が高いと何がいいのかというと、例えばPhotoshopの応答速度が速いとか、Premier Proのレンダリング時間が激短になるとか、Lightroomの高解像度RAW写真の現像時間がすごい速いとか、After Effectsのブレンディング時間が強烈に速いとか、そういった部分がすごくよくなります。そういう点ではApple M1搭載Macとかうんこ以下ですよ。後者に行くに従って重くなりますからね。クリエイターにこそゲーミングPCを試してほしいし、試せば分かる性能比だと思います。
究極的にはOSX86すればmacOSの実用度とWindows PCのハードウェアのよい部分が両方活かせることもあるので、まあそういう方面が好きな人は頑張りましょう。
なお、本機には4K/60HzモデルとWUXGA/120Hzモデルの2つが存在します。ゲームをしない、完全なクリエイティブ用途なのであれば前者がよいです。少しでもゲームをする人はもうコンマ数秒のフレームレート差で負けるのは日常茶飯事なので、少しでも速い(しかし世の中には倍の240Hzもいるけど)後者を取るべきです。この2つは単純な価格差ではなく、そもそもの用途が違うということに注意しましょう。
クリエイティブ性能の高さは随一
ゲーミングPCのフォームファクタはラップトップなら通常のクラムシェルの形状をしていて、キーボード下に各種コンポーネントがみっちり詰まっているのがふつうです。ROG Flow Z13は2-in-1のフォームファクタなので、キーボード側には何もありません。ディスプレイ側の上方にコンポーネント群が配置されています。
これが素晴らしいところのひとつでもあって、この配置のおかげでトップから排気が行われるようになっています。そして、吸気も背面なので、キックスタンドを最大開脚度である170度まで開いても、吸気口がテーブル面など置き場所にべったりくっつくことがないのです。このような工夫によってエアフローを犠牲にすることなく、常に最高のパフォーマンスを発揮していこうという気概が見られます。
ディスプレイ部は10点のマルチタッチと4096段階の筆圧検知に対応したスタイラスペンによる入力が行えます。なお、ペンのプロトコルはMPP 2.0なので、基本的にはSurface対応のペンであれば使えるはずです。
Adobe Creative Cloudであれば、Frescoがペンをがっつり活用できるイラスト作成アプリとなっていますが、今までiPad Proに大きく差を開かれていた描画性能をかなり縮められたように思います。CPUのコア/スレッド数が重要なので、20スレッドが活きてきます。
もう一点、筆者の属するスタジオでは2013年よりMac Proを制作環境の要に据えてきていますが、このいわゆる〝ゴミ箱Mac Pro〟のXeon E5を凌駕するエンコードスピードを実現しているので、Premiere ProやAfter Effectsなどでの処理が非常に軽いです。ここは、内蔵のiGPUであるIntel Xe GraphicsとdGPUであるGeForce RTX 3050 Tiがうまく分業して処理してくれる部分なので、常に制作の邪魔になるファンの風切り音に悩まされることも少ないです。
なお、本機と似たようなコンポーネント構成のPCは、現状ではLenovo (LEGION)とHP (OMEN)からリリースされているのですが、どちらも2kgを上回る大型のラップトップ型ゲーミングPCなので、1.2kgを切っている本機とは比較対象にならないです。そもそも、2-in-1のフォームファクタに本気で全力のゲーミング性能を詰め込んだのは現状ではASUS/ROGだけです。
重量級ゲームも軽々動かす快適2-in-1という唯一の存在
先述の『PUBG: BATTLEGROUNDS』は比較的軽めなのでぶっちゃけこれほどの性能は要らないのですが、『原神』などはかなりヘビーな性能を要求するゲームとして知られています。これを、描画クオリティをだいたい高に設定して、最高フレームレートの60fpsにしても楽々動かせるのが本機のすごいところです。
これは無印3080などではできなかったことなので、上位モデルに3050 Tiを積むことを決めたことを賞賛したい気持ちです。壮大なオープンワールドRPGをスマホとは別次元のグラフィックで楽しめるので、ぜひトライしていただきたいですね。
なお、専用のドック機能付きeGPUユニットが3種類、GeForce RTXのグレード別(いずれもTiなし)に別売りされておりまして、およそ本体の半額ほどで買えてまあお安い!って思うんですが、冷静に考えて拡張ドックに18万とかは厳しい。挿すeGPUを自分で別途買う(ASUS製以外動作保証しないよ!)って感じで、どうにかならないでしょうか。ユーザー目線では少しは安く上がる気がするんですが。
欲を言うなら、これだけモンスタースペックなら最上位機のメモリは32GB搭載していてほしかった。ここだけなんかふつうのビジネスモデルの上位グレードと同じような感じでちょっと格に見合ってない。
あと、ぼくは30年来のUS配列(※AXキーボードに端を発する)ユーザーなので、見ると腹が立つので箱から出すときに取り付けてもいないのですが、キーボードはJIS配列キーボードばかりでなくUS配列キーボードをオプションで2万とかでも全然いいので販売してほしい。もしくは、この付属キーボードはキートップだけすげ替えればUS配列になるようユニバーサルなデザインで作られているので、キートップだけの販売でもいいです。なぜ、海外で開発・生産されていて、しかもUS配列が基準の国の製品なのに、日本だけ日本にしか存在しないローカル配列にして販売するのか。
何も余計なことをせずそのまま持ってくれば、いい製品なんだから売れるんだし、何ならゲーマーほとんどみんなUS配列を使ってるので、わざわざ外付け別売りのキーボードを買わないとならなくて不便極まりないですよ。
ASUSさんはよくユーザーレビューキャンペーンなどの広報施策を打っていて、今回も純正のスタイラスペンがもらえるものが展開されているのですが、きちんとすべてのレビューを読んだ上でこういった細かい意見を汲み上げ、少しでもユーザー目線に近いデバイスをこれからもリリースしていってほしいです。


