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下肢不随になったので競技用車椅子を買った話

Date.
2023-03-15
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超多忙で1年くらい更新ができなかったのですが、これには理由があって、フリーランスとして長年働いていた仕事をすべて辞めさせられ、20数年来の友人の父親の会社である、アイエスティー株式会社というところで働いていたのですが、〝会社の経営は苦しいし息子の友人だから許してくれるだろう〟と甘く見られて残業代を含む賃金の未払いが続き、そのストレスが心臓疾患に繋がり、未払い1400万円を超えたあたりでストレスも最大に達して救急搬送されて緊急救命措置を受け、後遺障害として神経の信号伝達がうまくいかなくなってしまって、下肢不随という診断が出ました。なお、Apple Watch Ultraは昨年後半に始まる事前兆候から実際の緊急通報警告に至るまで、正しく警告を発していましたよ。

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病院で貸し出されていたパラマウントベッドの貸出用車椅子では結構快適に動けていたのですが、これ鬼のように高くてWHILL (ソニー系の介護ベンチャー)の電動車椅子が軽く何台も買えちゃうのでちょっと購入をためらいます。

退院すると出入口で貸出用車椅子は回収になってしまうので、自由に歩けなくなった身としては呆然と立ち尽くすことになります。

翌日から区の社会福祉協議会が貸し出している車椅子に頼りましたが、これはやはり介護用なので重くて基本的には押してもらうのが前提の作りになっています。自走では普通の人の歩く速度の1/3くらいが限界で、必死で汗だくになって漕いでも時速2kmも出ません。

他の区市町村でも、社会福祉協議会や役所の障害者福祉または生活福祉の課が無料で半年くらい貸し出してくれると思います。半年というのは根拠があって、障害者手帳の交付に至るまでそれくらいかかるからです。手帳持ちなら車椅子は必要な機器装具なので公費で買ってもらえます。でも現実にはそんなの待ってられないんですよ。移動が不可能なのが移動が困難になるくらいの改善度でしかないので。なので、自分で買いました。

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カドクラ車椅子という、競技向けの車椅子を作っているメーカーが比較的安価に軽量コンパクトで合理的な作りの競技用車椅子を作っているので、オーダーしました。届くまでは中2日の営業日って感じで、結構早いです。

ちょっと納得がいかないというか、まあ仕方ない話でもあってイマイチ釈然とはしないのですが、カドクラ車椅子はAmazonだけ販売価格が1万円高いです。Amazonの手数料が高いからだというのですが、じゃあ自社の直販や楽天やYahoo!だけで売っていればいいのにという気もするし、難しい。

タイヤはたぶん中華OEMだろうと思って事前にサイズと規格を聞き、24x1, 3/8だということが分かったのでPanaracerのHardrunner-S クリンチャータイヤとSchwalbeのチューブとリムテープを事前に買いました。実際に届いた初期状態では、タイヤは高圧対応のものなのに中身のチューブとリムテープは低圧にしか対応していないもので、あまりこういう規格を意識されない会社さんなのかなと思いました(元ロードレーサー乗りとしては基本中の基本だとは思うのですが)。まあ、黙々と変えました。

そういえば足が使えないということはタイヤに空気も入れられないので、Xiaomiのスマート空気入れ的なやつを買いました。たとえば65psiに設定するとあとは自動でそこまで入れてくれます。

介助用のグリップハンドルもないので、本来はクロスバイクなどのバーエンドに付けるTIOGAの補助グリップを付けました。これないと駅とかで駅員さんが駆け寄ってきはするのですが、えっあれってなっててとても気持ち的に萎縮するので。競技用車椅子は背もたれの位置も低いので、高さを合わせるために延長用のカーボンパイプで延ばしています。

それから、車椅子は円ハンドルで操作しますが、ここが金属パイプむき出しなので操作しづらく、ロードレーサーに乗っていたときも愛用していたSPACAZのSuper Sticky Kushというバーテープを巻きました。赤い六芒星が綺麗です。バーテープは両側で計4巻必要なので、2パック買う必要があります。もっとも外側にあるという位置関係で、結構擦る場所でもあるので補修用にアドハーシブテープも持っていると楽かも。

何度か車椅子生活になった経験があるので、安全策でフロントとテールのライトをつけようと思い、CAT EYEのSYNCシリーズを選びました。スマホで設定すると、フロントとテール2つの計3つのライトが連動して点灯するようになり、テールには減速時に自動でハイビームを点灯する疑似ストップランプ機能を有効化したりすることができるようになります。

自転車にもバイクにも乗れなくなったので、必要ないパーツを外して流用したりしながら、まあ全体でかかった金額としては16万くらいでしょうか。ただ、車椅子、特に競技用車椅子というのは基本的にすべて自分でメンテナンスすることが前提になっています。自転車みたいにそこら中に自転車屋さんみたいなのがあるわけではないし、自転車と共通しているのはタイヤの空気入れ周りくらいしかないです(ほとんどの車椅子は米式プラグです、ぼくはロードレーサー向けのチューブを使っているので仏式プラグです)。カドクラに関しては初期不良交換以外の保証もいっさいない(つまり細かな調整やメンテナンスはユーザー側の責任)です。なので、自分で何もできない(自転車のメンテナンス=タイヤ交換くらいの=をしたことがない)場合は買わないほうがいいです。

ちょっと走るだけでもボルトが緩んだりするのでちょいちょい増し締めしないとならないとか、バスや電車などで使うハンドブレーキ(車輪止め)も走行時の加速Gで少しずつズレていって止める効果が甘くなっていったりします。なので、何もわからない状態で買ったらすぐに走れない状態になってしまうと思います。

実走は、タイヤの性能が爆上がりしているので、路面コンディションがよければまるで滑走しているかのような軽快さで動きます。人と同じくらいの速度で動けるようになりました。

でもまあ、楽はしたいし介助者(主に妻)の負担は減らしたいと思っていて、後付けの電動化キットが中国なら絶対あるよなと思って探し、Wiskingという上海のメーカーの『JQ-B2』というブースターユニットを見つけました。15万はしない価格で買えると思います(あまりに安いのはJQ-B1で、コントローラが付いてないです)。

中国は電動の自転車(日本みたいに漕がないと動力が来ないアシストタイプではなく完全電動のモペットのようなやつ)に始まり、無音の電動モビリティが縦横無尽に公道を走り回っているので、まあこういうのありますよね。なお、あちらでの車椅子に取り付けるタイプの主流は、バイクのハンドルみたいなやつをフロントに取り付けるユニットみたい。

なぜか中国本土から買うと少なくとも数万円高くて(※日本のAmazonだと倍以上の値段になっています)、比較的安価な香港のディストリビュータから買いました。香港で介護向け用品を卸している会社さんのようです。

香港から発送で桃園(台湾)を経由したのでおかしいなと思ったのですが、そこから深圳に送られ、リチウム電池の扱いで通関不備が発生して遅延というインシデントがありました。本来は香港からだと東京(羽田)に直接来るはずなのです。深圳で発送ドキュメントを再作成して東京(成田)に直送になって配送されてきました。これでも着荷予定より1日遅れただけなので運送会社のUPSは非常に優秀だと思います。

箱はめちゃくちゃでかかったです。低層マンションの2Fなのでエレベータがなく、再び下ろすのは大変なので階下で受け取り、そこで開梱して組み立てをしました。車椅子が約10kg弱、ブースターは約9kg強で、まあほぼほぼ同じような重量です。だいたい20kgと考えると、電動車椅子としては結構軽い部類に入ります。

車椅子後部にマウント用のポールを取り付け、そこに接続用のハブを噛ませてユニットを取り付けます。ハブに組み込まれたスプリングとジョイント部が可動することで衝撃や上下角の可動域を得ながら確実な接続を可能にしています。すべてクイックリリースで組み付けられるので、車椅子から外すことができますが、ポールを外さないと車椅子を折りたたむことができないので、基本的にはポール部分を外せば全部まるっと取れて楽じゃないかと。

コントローラはユニットの右側に有線で接続するのですが、走行中に抜けないようネジ式で留められるようになっています。充電は左側から。プラグの形状が独特なので、こういうところがUSB-PDになるとなおいいですね。

コントローラには3段階のバッテリーインジケータと主電源ボタン、0~3の4段階の変速ダイヤルと非常停止ボタンが備わっています。変速が0の状態でも微妙に前方向へのトラクションはかかっていて後退がしづらくなります。主電源を切ると後ろ方向に動きやすくなります。スペック的には1速が時速2kmほど、3速が7kmほどなので、足腰の弱い老人の歩行速度くらいから健常な成人の早歩きよりちょっと速いくらいの速度域で調節できます。

なお、モーターはブラシレスモーターになっているので、電源供給さえできていればほぼメンテナンスフリーで半永久的に動きます。リチウムイオンバッテリーは買えるのかどうか不明ですが、元々Wiskingが車椅子メーカーらしいのでパーツ供給はあるような気はします。

コントローラの非常停止ボタンは押下でモーターのトラクションを切るだけなので、これすなわちブレーキではありません。円ハンドルや手動ブレーキで車椅子の動きを止める必要があります。走行の再開は非常停止ボタンを正方向(時計回り)に回してリリースすればよいです。結構確実な操作体系になっていますね。それでもまれに人を轢きそうになりますが。

で、平坦で水平な道ではもちろん直進しますが、日本の公道は基本的に水はけを考えて道の端に向かって傾斜が付いています。中国は道がほぼ水平なんですよね。自走式車椅子すべてに言えることですが、これは車椅子の操舵を難しくさせています。なぜなら4輪のタイヤは固定する力が働かない限り低い方向へ流れていくからです。つまり我々は常に道の端方向へ足を取られながら左右の円ハンドルの回転差で荷重をコントロールして前に進んでいます。これはこのブースターユニットでも一緒で、どちらか片輪の回転速度を手操作で制御しながらでないと直進することができません。あくまでも前方向へのトラクションをかけてくれるだけということを念頭に置く必要があります。

それでも慣れればかなり楽に直進できるようになります。これまで3つも4つも操作を考えながらそれを瞬時に行わねばならなかったのですが、基本的に左右どちらかの円ハンドルをコントロールするだけになるからです。体が健常な人は、体幹で荷重移動を意識するだけで操舵角をコントロールできるようですが、ぼくは腰から下が死んでいるのでそこまではできません。曲がるときは内輪側の回転速を落とすよう円ハンドルでコントロールしながら曲がります。車椅子の操作がうまい人はその場で位置を移動せず正反対へ方向転換することができますが、これは両輪を逆方向にコントロールするので前方へトラクションがかかっていると難しいです。どちらかというと片輪の回転を手で止めてクイックターンするほうが現実的だと思います。

上り坂は公称で10度の傾斜までは登坂することができますが、3速でないとちょっと厳しいです。下り坂は逆にトラクションは不要なので、どうやって止まるかを考えながら下らないとならないのは自走式と一緒ですね。

意外と邪魔になるのは視覚障害者向けに敷設されている点状ブロックです。これは車椅子の車輪を取られるだけでなく、ブースターのトラクションも殺してしまうので、車椅子ユーザーにとっては敵です。特に駅のプラットホーム端などで車輪を取られて危険を感じ、何度これを剥がしてほしいと思ったかわかりません。こういうところは視覚障害者の誘導をIoTでうまいことなんとかするとかで解決してほしい。日本社会は基本的に、このように障害者というのは本当に人権がないのでとりあえず置いときゃいいだろ貼っときゃいいだろみたいなのが多くて、現実には役に立たないどころか邪魔にしかならないみたいな施策がたくさんあって辟易します。

なお、ブースターの電力はだいたい20kmくらい移動できる容量があります。電欠すると後ろにウェイトを付けた状態で移動するということになるので、こまめに残容量のことは考えておいたほうがいいと思います(コントローラに3段階の、ブースター本体に5段階の残量インジケータがあります)。

移動する手段を得たということで、長距離移動の際のことを書いておきます。例えば国内の移動で、新幹線などの特急電車には車椅子のまま乗車することができます。そういうスペースが用意されています。

飛行機だと、ボーイングやエアバスの中型(A350やB737など)や大型(A380やB767/777など)の機体であれば、自分の車椅子のまま固定してもらったり機内用の車椅子へスライダーなどを使って乗り換えて移動することができるのですが、エアバス A320のようなLCCなどで採用例の多い小型の機体だともうちょっと注意が必要です。小型機の機内には基本的に車椅子のための空間はないからです。

A320の場合、たいていは搭乗ゲートまでは自分の車椅子で行けますが、それ以降は貨物室に受託手荷物として預かってもらうことになります。つまり、機内のシートに座っていられる程度の障害である必要があり、ゲートから機内座席までなんとか自力や介添頼りで移動できる必要があります。この場合に杖などを使う場合は、長物の規定には引っかからず別枠で機内に持って行けます。また、基本的には介添のための付き添いを1名、同乗が求められます。

A320の場合だと乗客で車椅子の人間が最大4人までの制約があります(A320にはそれ以上の車椅子を収容するスペースがないからです)。それ以上の人数がいた場合は別便に振り替えてもらえます。いずれにせよ、航空会社の規定に従って、事前に車椅子ユーザーであることを申告しておく必要があります。

介添人の搭乗料金は通常規定どおりかかりますが、車椅子を預ける受託手荷物料などは発生しません。また、振り替え便の差額料金や手数料もかかりません。国際法規で、障害者の移動手段を特別に妨げてはならないことになっているからです。

車椅子に動力用のバッテリーがある場合はもうちょっと複雑で、バッテリーのスペックなども申告することが求められます。バッテリーが外せる場合は、基本的には外して絶縁して機内に持ち込みます。ぼくのように後付けのブースターの場合は、この部分を取り外して機内に手荷物として持ち込むことができます(これも、最大2つまでといった機内持ち込み手荷物の枠にはカウントされず、特例として持ち込めます)。

こんな感じで、移動時に多少の不自由を強いられはしますが、障害者の単独での移動のことが考慮されていないのは国内の鉄道なども一緒(※障害者割引は基本的に介添人がいなければならず、障害者1名のみでは利用できない)なので、公共交通手段を使う場合は介添人を用意して移動しましょう。移動を諦める必要はありません。

車椅子生活になって、正直つらい思いもいっぱいあるけれど、少しでも車椅子ユーザーを取り巻く現状を知ってほしいし、それを少しでも楽にするガジェットの類いは紹介していきたいと思って、このようなものを書きました。

バッテリーとしてはPSEがないとか、そういう欠点はいろいろあるのは分かるんですよ。でも、そうやって触法しながらでも移動手段を確保しないと障害を負った人間はふだんどおりには生きていけないので、こういうところをもっときちんと法整備するとか、望めるならこのようなモビリティのためのガジェットをもっと日本国内のベンチャーなどに作ってほしいし、給料未払いするような会社は滅んでほしいしそういう人間はできる限り無残な死に方をしてほしいし、言いたいこととしてはカネ返せです。

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