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NTT docomo/Sony Xperia 5 II 5G SO-52A - Purple (ドコモオンラインショップ限定)

Date.
2021-01-18
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今回はドコモからオンライン限定で発売されているXperia 5 II (Xperia 5 Mark 2)のパープルをレビューしていきます。このブログでもっとも長文のレビューとなっていますので、最後までお付き合いいただけるか不安があります。

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縦に長い小型スマホという立ち位置のフラッグシップモデルとなりますが、結論から先に書くとでかいです。iPhone 12に対するiPhone 12 miniというように、Xperia 1 IIに対するXperia 5 IIとはなっていないように思いました。

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比較すると両者の大きさはかなり違っていて、これを同列に比較しているメディアもあるのですが、ちょっと対抗馬とするのはお互い不幸だなと思います。

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Xperia Zでパープルというテーマカラーを打ち出して以降、ことあるごとにリリースされるXperiaのパープルですが、今回のXperia 5 IIではドコモ限定色となっておりまして、しかも店頭販売されていないレアカラーになっています。今回は、光がこぼれる前の夜明けの空をイメージしたカラーだそうです。前回買ったのはXperia 1のパープルでしたが、より紫みが強くなったような印象です。

キャリアモデルですが、グローバルモデルをベースにしている部分が色濃くあり、ワンセグ/フルセグがないのはもちろん、ワイヤレス充電もオミットされたままになっています。防水防塵とおサイフケータイがあるあたりが国内開発モデルっぽい残滓です。

しかし、このサイズ感でそれらをすべて積んでいるようなモデルはよそにもたくさんあります。今回、Xperiaが差別化要因として押し出してきたのは、奇しくもHuaweiと近い戦略であるカメラレンズへの外部ブランド認証ロゴの採用、そしてSamsungなどが得意とするゲーミング向けチューニングです。

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カメラはソニーの筆者も、正直なところこのカメラでは散々頭を悩ませたんです。所詮はプラスチックレンズ、機械式絞りもない、そんなところに軽々しくZeiss T* (ティースター)ロゴを載せたから、だからといって何なのか。αの操作系を維持したカメラアプリがあるとして、だからといってそれはαの代用になるのか。答えとしては否定的要素しか出てこないんです。携帯電話のカメラはあくまでも携帯電話のもの、フルサイズのセンサを持つ一眼の代用にはならないんですね。

でもまあ、16-70mmのバリアブルレンズということは、ひょっとしたらRX100シリーズの代用くらいにはなるかもしれない、そういう期待値で買っています。正確には35mm換算で16/24/70mmの3種のレンズを持っています。

ゲーミングに関しては、プロチーム『SCARZ』さんがスポンサー契約をしていて、おそらく監修的なこともしていることでしょう。そして、ドコモはe-Sportsをやっていく気概がある企業です。Xperiaにも待望のゲーム専用ランチャが搭載され、各ゲームのチューニングパラメータを細かくいじれるようになりました。120Hzのディスプレイと240Hzのタッチセンサで、ソニーとしてもやる気概は充分と見えます。まあ、これもまだ中途半端で、ゲームランチャに登録したアイコンはホームランチャから消えてほしいですけどね。ゲーム中に画面輝度を変化させないという設定はいいところに目をつけたと思いました。

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さて、21:9の画面比率ということで、開いた感じはGalaxy Z Flipを彷彿とさせる雰囲気があります。もうちょっとあちらのほうが大きいのですが、まあ要するに幅は小さくても縦に長いです。画面はXperia 1 IIとちょっと違って、どちらも有機EL (OLED)ですが、1 IIのほうは4K表示でX1 for Mobileを積んでいます。5 IIは通常のFHD+なOLEDです。

ソニーのAndroid端末は結構素に近いAndroidという色が濃く、見た目的にはそんなにカスタマイズが入っていません。 Xperia ホームを選べば見た目はほぼPixelと変わらないです。大きくUIが異なるのは、αとほぼ同じインタフェースのカメラアプリ『Photography Pro』、そしてCineAltaとほぼ同じインタフェースのビデオレコーダアプリ『Cinema Pro』くらい。

Photo. Proアプリ以外に通常のカメラアプリもあって、ぼくは適当なスナップは標準カメラ・RAWでじっくり撮りたいときはPhoto. Proというようにしています。Photo. Proは画像記録形式をRAWのみ(撮って出しのJPEGなし)にできるんです。これ地味に便利。あとから見返してRAWだったらそれなりに残したい写真だって分かりやすいし、Lightroomで取り込むときもRAWのだけ取り込めばいい。

作例。

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  • 広角: ISO 64, 1/60sec.; 24mm/F1.7

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  • 超広角: ISO 100, 1/60sec.; 16mm/F2.2

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  • 望遠: ISO 64, 1/60sec.; 70mm/F2.4

だるまの和紙の質感や色乗りに注意して見ると、望遠はちょっと白っぽくなっていますが、広角と超広角に関してはかなりくっきりとした描写で飛んだ様子もなく、それなりに好感の持てる描写です。

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  • 広角: ISO 640, 1/60sec.; 24mm/F1.7

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  • 超広角: ISO 250, 1/20sec.; 16mm/F2.2

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  • 望遠: ISO 80, 1/20sec.; 70mm/F2.4

夜間の撮影は、超広角がちょっと白飛びしがちです。もうちょっとシャッタースピードを遅くする必要があるようですね。広角では遠景までわりとしっかり写っています。ここが基本のレンズであるぶん、かなりそれっぽい写真になっていますね。望遠も描写がきちんと色乗りがあり、LEDパネルの白飛びなどはあるものの、感度もそれほど上がっていないのに頑張っています。

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  • 広角: ISO 100, 1/8sec.; 24mm/F1.7

夜景はどうでしょう。木々のイルミネーションが写り込んだ水面の描写に注目してみると、水面のゆらぎがしっかり写っていて、暗所ノイズもそれほど見られません。ほかも、看板の文字の白飛びが見られはしますが、全体としては破綻していないように見えます。

RAWでデータを見ると、ソフトウェア処理の掛かる前の生データが見られるわけなので、レンズとセンサの素の性能が見えてきます。Xperiaはソニー製品なのでBIONZエンジンのモバイル版を持っていて、それで処理した上でJPEGを書き出してくれるわけですが、このときに白飛びしたり暗所がノイズまみれになったりして結果的にガビガビな画像になって「カメラの性能が良くない」みたいなことを言われるわけですが、素の性能はそんなに悪くはないっぽいです。RAWで撮ってLightroomで自分で現像しましょう。

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現像した作例です。ボケ味が全然ないので一眼の写真だなとはなりませんが、それほど破綻なくリアリティのある写真に仕上げられるように思いました。ソニーさんにはGalaxyのように機械式絞りを導入することをおすすめしたいですね(Galaxyは絞りをちょっとだけ絞れるのでボケ味が出しやすい)。

Zeissの写真というものは確かにあって、あこれはツァイスの6枚絞り羽根だなとか写真で感じるシーンがカメラマニアには必ずあると思います。Xperia 5 IIはZeiss T*ロゴを持っています。確かにT*コートをしているんだとは思いますが、残念ながら出てきた写真からZeissらしさを感じることはできませんでした。

逆の例ですとHuaweiはそれがうまくて、Leicaのモノクロだなと思える写真が出てきたり、Leicaらしいボケ味をソフトウェア処理で行ってくれたりするんです。絞って合焦範囲を狭めたりはできないのに、きれいなボケ味が出てきます。そういうところは現状のソニーは弱いです。

ソニーは初期のXperia ZファミリではソニーのGレンズロゴを付けていました。そして、たしかにGレンズっぽい写真が撮れるということで愛された機種でもありました。今のXperia 1 II/5 IIには残念ながらそういうところがないです。あくまでもぱきっとした写真が撮れるだけとも言えます。ロゴがある以上はそれっぽさに期待して買うわけなので、そういうところでは心底残念な気持ちがあります。これはぼくがZeissのレンズユーザーだからかもしれません。Zeissロゴがなかったと考えれば、充分きれいな写真なんですよ。だから非常にもやもやした気持ちです。

カメラの話をすると長くなります。気持ちを切り替えて、改めて縦長である本体の使用感などを。

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手に持っても非常に縦に長く、数サイズ大きめの携帯電話と同じくらいの情報量が目に入ってくる画面ですが、よそみたいに超狭額縁(ベゼルレス)にはなっておらず、スタンダードに上部フロントカメラと下部のアゴがあります。Xperiaは昔から線対称にこだわっていて、横に持ったときにどっちかに画面がずれるという事象を忌避しています。だからパンチホールになったらアゴもなくなるのでしょう。Galaxyがそれをできているので、ソニーもできないことはないよ! って思うのですが、なにか深い事情があってこのレイアウトを数年続けているのかもしれません。フロントから見ればなんか長いXZ3みたいな感じですからね。

ただ、小型であるということを横方向には最大に活かしていて、手に持って持ちやすいです。指がちゃんと掛かるんですね。今は指が届かない携帯電話が世の主流なので、そこでは結構感動があります。

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それと、別のエントリで紹介しているんですがDeffのカーボンケースのおかげでカメラもフルフラットになるので、机に置いて使いやすいです。がたがたしないのは正義だよね。

売りの機能である21:9マルチウィンドウですが、これはAndroid 12で実装されるApp Pairsという機能が来ると本領を発揮するかもしれません。今は結構煩雑な手間をかけてマルチウィンドウを実現しているだけだし、その煩雑さではちょっと使わないかなーみたいな機能です。まあ調べ物しながらチャットツールを使うとかそういうときは便利です。それくらい。Galaxyのマルチウィンドウが使いやすすぎるんだよな。

無印Xperia 1と比べると、サイドセンスがソフトウェア処理になったので画面のふちではなく画面内の端っこのバーをスリスリする感じになりました。でも、システムワイドにナビゲーションジェスチャーを設定できるようになったので、もうこれもあまり使わないかな。

そう、頑なに残っていたナビゲーションバーを隠すことがとうとうできるようになったんですよ。iPhoneやPixelなどと同じ、スワイプでのジェスチャーに切り替えることができます。携帯電話の操作性が同じになるのはとてもよくて、複数メーカーを持っていて操作が違う、みたいなことがなくなりました。

実はもうiPhone 12 miniだけで生きていけるなと思っていたんですよ。でも今マスクの時代じゃないですか。顔認証が使えないのは外で結構手間があって、Xperiaは指紋認証なので外にいるときに調べ物などのメインとして使うようになりました。なので、相互補完関係にあります。なくてもいいけどあると便利みたいな気持ち。

あと、ちょっと前のXperiaまではできていた、Smart Lockでの顔認証設定がひっそりとなくなっていました。隠し便利機能的な感じでよかったんですが、世の情勢で不要と判断されてしまったんでしょうか。

熱設計がしっかりしてるんだよって部分にも触れておきましょうか。ゲームなどをしていてもなかなか背面が熱くならず、一点に集中して加熱しているということもないので、散熱処理がちゃんとしているなと感じます。カーボングラフェンなどで処理しているのでしょう。いわゆるゲーミングスマホではないですが、結構ガチでゲームしたいというシーンでも使えると思います。

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ゲームに関してもう一点、タッチレートがそこそこ速い(最大240Hz)というのも特徴的です。iPhoneが9msくらい(標準的なAndroid端末はたいてい20msくらい)でタッチを認識するんですが、Xperiaはゲーム設定をすると4ms程度の認識速度に変更することができます。これは音ゲーやバトルロイヤルなどでかなり活きてきます。このあたりはかなり詰めてセッティングされていて好感が持てます。

なお、画面表示はリフレッシュレート120Hzが最大(※疑似240Hzは可能)ですが、ぼくがやっているPUBG MOBILEの90fps表示には今のところ対応していないので、PUBGmで90fps最強イエーイみたいなことはできません。でもSCARZさんがこのXperia 5 IIを実際に競技シーンで使っていて強いので、60fpsで強い人は強いのでしょう。

3.5mmオーディオジャックがあるのもメリットだと思いますが、ぼくは絶対に携帯電話で音楽を聴かないので、alumaniaのSTRAP TYPE HEADPHONE for 3.5mm PLUGというオーディオジャックをストラップホールに変えてしまうアイテムを挿してしまっています。

なお、画面フィルムにはDeffのTOUGH GLASS 3D マット (ゲーム用)を、背面にはミヤビックスのOverLay 9H Plusを貼っています。どちらもマットなので見た目の質感は変わります。でも、指に抵抗があったほうがいい。あと、この画面フィルムはかなりマット感が強いガラスなので、指すべりが気持ちよいです。

さて、全体的には満足ですがカメラは頑張ってほしいなというまとめです。

Xperiaのフラッグシップとして、それにふさわしい高級感あるデザインを持ち、操作体系も標準的なAndroidと同等になりました。これまでに細かく書いてきたような、カタログスペックには現れない作り込みのよさもあります。これからも標準を守りながら、目に見えない作り込みを続けていってほしいです。

カメラは、Zeiss T*ロゴにふさわしい出来になることを願っています。今のままでは本当にカメラカバーガラスのコーティングがZeiss T*というだけです。カメラの性能がいいのはわかりました。では、次に議論すべきはZeissの写真とは何なのかということだったのだと思います。これが抜け落ちているから、出来上がった写真にそれほどの感動がないのです。本当にカメラだけ、スペックを追い求めただけになっているのが惜しいところです。作り込んでほしい。

欲しかった機能は、ワイヤレス充電かなあ。充電パッドを複数台並べてとっかえひっかえで端末を充電しているので、そのサイクルに1台だけ乗れないのがXperia 5 IIなんです。いずれ乗るとは思うのですが、日常利用で困るのはそこくらい。ほかは非常に良い端末だと思います。

パープルがドコモオンラインショップのみの販売というのは、なにか事情があってこうなっているんだとは思いますが、この色本当にきれいなので目で見て買えないのはちょっと口惜しい(※店頭展示があるところが一部あります)。みなさんにも手にとっていただきたいです。法制度の改正によって端末のみの購入もできるようになっているので(※現状は本人確認とか分割払いとかでちょっとハードルが高いんですが)、ご興味のある方はぜひドコモに10万叩きつけて買いましょう。

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