Razer Blade Stealth 13でもOSX86するお話
いわゆる〝ゲーミングノートPC〟です。13インチで質実剛健なデザインと4KのLCD、16GB/512GBという広大な空間に惹かれて、仕事用PCとして買いました。いわゆるUSキーボードのモデルを日本のRazerは現在扱っていません。なので、これもどこか海の向こうから輸入したものです(macOS Catalinaの初期インストーラがトルコ語を表示するのでそのへんのなのかな)。
何よりも本体が薄く、MacBook Pro 13くらいしかありません。あまりWindows PCには例を見ないタイプのマシンです。それでいてゲーミングスペック(らしい)です。あ、お値段はMacBook Pro 13の倍くらいします。
ひとまずの作業としてPUBG, APEX Legends, VALORANTの動作は確認しましたが、どれも素晴らしく快適に動作しました。最近のノートPCはすごいね。
さて、ここからはOSX86のお時間ですよ。
OSX86を選択肢に入れた場合、CatalinaかBig Surかを選ぶことになるのですが、貴重な土日を潰していろいろ探求した結果、このマシンでのBig Surは4Kをネイティブに表示することができず、スケーリングにしかならないということだけが学べました(だいたいの場合はそうなるようです)。FHDのマシンを買った場合は素直にFHD表示ができるはずなので、そのようにしてください。
OSX86で捨てるものとして、いわゆるdGPU、今回の場合はGeForceを捨てることになります。OSX86ではmacOS側の様々な制約からディスクリートなグラフィックプロセッサを使うことができないので、内蔵のIntel UHD Graphicsを使うことになります。
また、標準のUEFI設定(いわゆるBIOS)画面は様々な設定が潰されているため、これを表示できるようにするパッチを作る必要があります。メーカーでの更新自体はそんなに頻繁に行われないようで、1年以上アップデートされていないので、何らかの理由でアップデートされたらまたそのときに考えようという。
パッチを作る理由としては、VT-dとMaxStorenMemの設定を行えるようにするのが最大の理由ですが、それ以外にも便利な設定を開放できるので開放していきましょう。AMIBIOSは自由でいいな。
ブートローダには『Open Core』を使いました。このブートローダを今回初めて使ったのですが、雑多な印象のあるCloverのconfig.plistより洗練されており、理解できれば構築は早かったです。
また、前回のフル構築(VAIO Pro 11)から時を経ているので、Intel Wi-Fiが使えるようになっていました。この場合、AirDropだけは使えないようですが、それ以外はネイティブに動作します。Broadcom (Dell)のDW1560などにすげ替えればAirDropが使えるはずです。実際手持ちですげ替えてみたんですが、Windowsが不定期に固まるのでちょっと実用にならないなと思いました。なので、Intelに戻しました。
ゲーミングノートPCらしいところは常時妖しく光るキーボードだけになってしまうのですが、このキーボードのLED光に関しても調節するmacOS用アプリがあります。世の中には頭のおかしい人が何人もいるんだな。
いつも頭を悩ませることになるDSDT/SSDTですが、これがまたOpen Coreでは便利になっていて、パッチをGUIツール(Open Core Configurator)で指定することができます。なので、Hackintoolsなどを使ってバイナリ計算をできる人なら、MaciASLでパッチを書く必要はないかも。
kext類はLilu, WhatEverGreen, VirtualSMCあたりを中心に構築していきます。
ディスクリートGPUを持つ場合のIntel UHD Graphics (IGPU)に関して、様々なところでやれeDPがどうのコネクタがどうのという話をされていて、様々なプロパティリストが公開されているのですが、これ要らんのですよ。書かなくてもWhatEverGreenが最適な値を適当に持ってきてくれるので、空白で大丈夫ですよ。Windowsと一緒だね。
機械任せにできるところは極力そうして、出来上がったのは糞みたいにシンプルなプロパティリストです。
Open CoreからはWindowsをブートさせることができないので、CloverとOpen Coreをデュアルで選択できるよう、SelectBootLoaderというブートローダを入れました。で、Clover側には何もインジェクションしないplistを書きます。もちろんそうするとmacOSをブートできないので、Macintosh HDを選択肢から隠します。
これで平和にWindowsがブートするのですが、ディスクリートGPUとその他2デバイスほどが不明なデバイスになります。GPUはnVidiaのドライバを入れ、Intel MEとApple パフォーマンスカウンタのドライバを入れてあげれば不明なデバイスはなくなります。Steamのゲームで見た感じではIGPU/dGPUの切り替えもうまく行っています。
macOSだけで生きていけない理由としては、スリープ復帰時の画面の乱れと、内部的にHDMIポートがdGPUと直結されているのでmacOS側ではどうやっても画面の外部出力ができない、という2点ですね。前者はFHDモデルなら問題ないようです。