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SoftBank/Sharp/Leica - Leitz Phone 1 (LP-01)

Date.
2021-07-18
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7月16日発売の、独Leica全面監修・シャープ開発・ソフトバンク専売という企画携帯電話、『Leitz Phone 1』を購入しました。

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16日・17日とフリーの在庫を狙ったのですが、なかなかうまく在庫がなくて購入が2日ほどずれ込みましたが、ほぼ発売即購入みたいなものですね。いつものように各フィーチャーを丁寧にレビューしていきますので、この気持ちがきちんとシャープの担当者に届いてほしい。

Leitz Phone 1は同じシャープのAQUOS R6の姉妹機でもあり、前面のガラスフィルムなどは共通サイズですが、側面や背面はまったくデザインが異なり、Leicaのカメラテイストな感じに仕上げられています。本体付属品としてレンズキャップとシリコンケースがあり、前面フィルムだけ買えばコンプリートに保護できるようになっています。

フロントカメラはパンチホール式。パンチホールの周囲を彩ってくれる『ArcLighting』というアプリの設定値は以下のような感じにしています。

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なお、ケースやキャップのカラーバリエーションを含む、純正アクセサリ類が8月上旬以降の予定でLeicaから販売が開始される予定です。皆さんもぜひ、全国各地のLeica Boutiqueなどへ足をお運びくださいね。

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ケースに関しては、ぼくは付属のものをちょっと装飾して使っています。Leicaっぽい色合い、ちょっと悩みました。

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イヤホンジャックに『alumania STRAP TYPE HEADPHONE CAP for 3.5mm PLUG』という、イヤホンジャックをストラップホールに変換するプラグを差し込んで、Leica C-LUX用のハンドストラップを付けました。他のカメラメーカーと違って、メーカーロゴが控えめで好感度高い。

本機の特徴は、もうずばりLeicaのカメラが〝たったの〟18万円で買えるという、そこに尽きるのではないでしょうか。カメラの沼に片足が浸かっている人は分かると思うのですが、Leicaのカメラは基本100万円からというオーダーで、ちょっと興味本位で買うようなカメラではありません。

カメラとしては、センササイズは1インチ、F値1.9/焦点距離19mm (※35mmフルサイズ換算値、本来は約8mm程度です)のSUMMICRON(ズミクロン)レンズという構成です。いや、18万円じゃ残念ながらSUMMICRONレンズ買えないんだ、カメラの世界では。

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HuaweiのLeicaレンズではSUMMILUXレンズが使われていたりしたので、ちょっと異なりはしますが、要はこの携帯電話はHuaweiのLeicaスマホがちょっと世界情勢的に売りづらくなっちゃったからシャープさんなんとかしてよってLeicaがすり寄ってきた、という話であって、レンズシステムの違いはあまり情勢に関与していません。シャープも今は中国資本ですから、いつ米国に制裁を食らってもおかしくないっちゃないんですがね。

ホンモノのLeicaの写真それそのものが撮れるわけではないですが、少なくともその片鱗を見せつけるLeitz Phoneの企画背景にはソフトバンクもかなり噛んでいるようで、Leicaとシャープをなんとかうまいこと仲介して今ここにこの製品があるわけですから、専売であることに文句を言ってはいけないです。

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なお、とてもLeicaっぽいレンズキャップなのですが、ASCII.jpの竹村教授の記事によると付け外しを繰り返しているうちに本体側の塗装が剥がれてしまうようです。残念な造り。ですので、対策としてレンズ外周を取り巻くリングシートを作って貼りました。本来、塗装はガラスの裏側からやるべきで、表面を梨地にしたかったのであれば工数が増えてでもサンドブラストすべきでしたね。

ぼくは最初は端末単品購入をもくろんでいたのですが、そんなやつはゴミカス以下の扱いを受けると思っていたんですね。しかし、ソフトバンクの店員さんの実際はとても丁寧な接客と曖昧な受け答えをしない知識量があって、ちょっと感動したので気が変わって回線契約込みで一括払いで購入しました。ソフトバンクの5Gは自宅でも電波があり、KDDIより面展開が早いんだなと思いました。

起動させるとUIはシンプルなAndroidで、一見まともそうに見えました。ただ、すぐに分かるのですが画面の色合いがおかしいです。シアン系であるTwitterのアイコンが全日空のブルーのような色で表現されるので、これは変だと思って設定のディスプレイのところを見ると、画質の基本設定が〝おススメ〟というものになっていて、ビビッドな色合いになるように設定されていました。これを〝ナチュラル〟に変えてあげると色がおかしいというのはだいぶなくなりました。Pro IGZOなどと名乗ってはいますが要はこれはSamsung OEMのパネルなので、Galaxyにもあるこの設定があるのは分かるのですが、この子は写真端末なんだからこの辺ちゃんとしといてよ。

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なお、ディスプレイの設定を開いた状態ではこれらの情報は表示されません。

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詳細設定を開いて下へスクロールすると、このように表示されます。

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カメラは、日照環境下では非常に明瞭で、粒の細かい描写が(撮って出しの画像でも)得意です。このあたり、明らかに過去のAQUOSのそれではないです。

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ただし、低照度の状況になるとちょっと不得手となって、ハイコントラスト気味に飛びます。マニュアル撮影したRAWデータをLightroomで現像したほうがよい結果が得られると思います。なお、RAWデータはスタンダードなDNG形式。

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シャッターラグがひどくて場合によっては1秒くらいあとにシャッターが切れるということがあるので、シャッター音が鳴るまで固定する、移動する被写体は人間側で先読みしてシャッターを押すなどの対処が必要です。

それから、2021年の現代においてこのスマートフォンはexFATを読み書きできません。これは大きな問題です。exFATが一般的となっている他のデジタル一眼カメラなどから画像を持ってくる場合、シャープの担当者はいったいこれをどうしようと思っていたのでしょう。こういうところが、カメラを使ったことがない人間が作るカメラスマホという感じを露呈させていやな感じです。

総合的な体験としては、今のところはまだHuaweiのLeicaカメラのほうがきれいに撮れるシーンが多いように感じますが、まだこれは初号機で初版のROMですので、まあこれからのチューニングに期待してあげるべきですね。たぶん〝許せないおじさん〟たちがいっぱいクレームを送っているでしょうから。

なお、ズームとか3Xみたいな概念はこのカメラにはなく、あんなに大きなカメラ周りの機構を持っていながら19mmの超広角な単焦点です。だから、ふつうの人は3眼レンズで全域をこなすXperia 1 IIIを買ったほうが満足できると思うし、出てくる写真もきれいなんじゃないかなと思います。

よくXperia 1 IIIと比較されている記事を見るんですが、まったく性格の違う機種同士ですし、どちらも日本人には非常に耳覚えのある社名なんですが、あちらは日本資本・こちらは中華資本という違いがあるので、開発に対するスタンスも異なります。そもそもセンササイズも違うので、比較してどうこういう意味はあまりないということは覚えておいてほしい。

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19mmは日常生活では少々広角気味です。そこでこのカメラは何をしているかというと、この中心にある24mm相当の範囲をクロップして、切り抜いた画像を保存します。これを、Leicaの世界では〝ブライトフレーム方式〟と言います。マニュアル写真モードでRAW画像を保存すると19mmの写真が記録されます。本来であればカメラの焦点距離が違えば画角が異なるわけですが、そこら辺の細かいことは無視する仕様です。分かってないとなんだか微妙に違和感のある画像になりますが、ライカの味なのだと言われてしまえば素人さんは納得するしかないし、玄人は何だよクロップじゃねえかという気持ちになるだけです。

カメラアプリは、AQUOS R6と並べて比べると実際ほぼ同一です。ただ、絵作りが異なっていて、これがLeicaの監修した部分の表れということなのでしょう。アプリのUIが一緒で特別感がないなんて意見を見かけるのですが、たぶんこれは特別感で売りたい携帯電話ではないし(だってiPhoneの最上位モデルより安いんですよこれ)、HuaweiもLeicaレンズのハイエンドとそうではないハイミドル以下とでカメラアプリのインタフェースが違うということはなかったです。これくらいの携帯電話が高額だと思うなら、OppoのReno 3Aでも使ってりゃいいんですよ。だいたいの人は満足する性能だと思うし。

少なくともぼくは、いまソニーのフルサイズを使っていて、きっとその先の通過点にSIGMAがあり、究極の到達点はLeicaだと思っているのですが、まだモノクロの光の表現をうまく使いこなす自信がありません。そう、Leicaと言えばMのモノクロ専用機ですから、この携帯電話にも『LEITZ LOOKS』というモノクロモードが備わっています。こういうところで勉強して、いつかもっとお金を稼いだらうちのカメラを買ってね、とLeica的には言いたいのでしょう。

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  • ※撮影許諾を得て撮影しています。

ただ、Huawei P9のようにモノクロセンサを搭載しているわけではなく、カラーセンサの捉えたものをグレースケールに変換しているだけなので、やはりモノクロ専用機のそれっぽくはならないです。P9のモノクロは本当にLeica的な写りをして美しかったのですが。

ところでなんでLeica PhoneじゃなくてLeitz Phoneなの、というところですが、これはLeica創業時へのオマージュということなんだと思います。創業時はLeitzというブランドで製品をリリースしていたのです。

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ここをLeicaのスマートフォンの礎としたいという確たる意思があって、ゼロからのLeitzの名を冠したのではないでしょうか。

なお、これまで長くLeicaのレンズシステムを供給してきたHuaweiとの協業をやめるわけではなく、これはあくまでもLeica自身のスマートフォンということになっています。

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ということで、ではスマートフォンとしてどうなのかというあたりに触れていきましょう。Snapdragon 888を搭載し、12/256GBという広大な空間を持っているのですから、日常の利用用途で困ることはまずないです。microSDカードスロットもあります。3.5mmのオーディオジャックもありますし、USB-C 3.2 Gen.1の外部端子を持っています。写真を撮るゲーマーの皆さん、喜んでください。他社のようなゲーミングモードもあります。おおよそ、2021年中盤における平均以上のスマートフォンであると言えます。

画面のリフレッシュレート切り替えもできるのですが、これが〝なめらかハイスピード表示〟という名称で、一見何のことだか分からない機能名にされています。ここでアプリを指定してハイスピード設定にすると、アプリさえ対応していれば 120Hz表示が可能になります。

ぼくはよく「ギャラリーを高速スクロールして表示がスムーズだというメーカーは糞」というようなことを言うのですが、シャープはそういうメーカーの一員でもあり、標準ギャラリーアプリであるGoogle フォトもしっかりハイスピードに設定されています。

しかし、こういうギャラリーとかの、120Hzなどのための特別な最適化が行われていないアプリではAndroidの仕様上、結局のところ60Hz表示になるわけですのできちんと最適化されたアプリで殴り合うべきです。

しかし、その最大の戦場であるゲームアプリの市場では、機種それぞれで検証して最適化していく手法がとられていますので、このようなマイナーな機種に120Hz表示などがやってくることはまれです。つまり、なんとなくなめらかになったような気がする、というプラセボ効果のほうが大きいことでしょう。

いや、PUBGmもCoDmも、とにかく有名どころのFPS系ゲームは軒並みこの端末に対応してないんですよ。たぶんAQUOS R6のほうがまだ最適化される可能性を残していると思います。この端末に関しては、高リフレッシュレートを要求されるような、それこそリフレッシュレートの違いで負けるようなゲームはいっさいやれないと考えてください。

ということで、eスポーツ市場で本格的に殴り合えるようなスマートフォンではなかったです。スペック的には必要充分のそれ以上ですが、ゲーミングとして見た場合はちょっと弱い。いや、だいぶ弱い。

通常の(60Hz表示の)アプリ利用シーンにおいてはもうSnapdragonの性能が人類の性能を上回って4年くらい経つので、ほぼ引っかかりなどを感じることはないです。Lightroomなどの比較的重いアプリでも、スライダーの操作へ俊敏に反応してきます。ここら辺の体験、よくあるIntelプロセッサ搭載のPCを上回ってしまっていて、PCよりもスマホのほうが処理性能が高いという時代を実感します。

ただ、先に述べたようにこのディスプレイの発色はちょっとおかしくて、表示をナチュラルに設定してもまだコントラストが強めです。また、昨今のスマートフォンと比較してもだいぶ青みがかった色域設定にされています。ですので写真のレタッチにはあまり向いていなくて、ちょっともやもやした気持ちになります。ねえこれカメラスマホだよね……。

実はこの色、テレビのほうのAQUOSなども同じような発色をするので、シャープのディスプレイ担当が好む色合いなんだと思いますが、現代のトレンドにはまったく合っていません。こういうところ、ダサい開発をしているということをいい加減自覚しないと、中華資本は儲からないとあればあっさり手を引くので会社が傾きますよ。

こういった色再現性の問題で〝記憶色のカメラ〟であるとかそうでないとか、一時期話題になっていたことがあるのですが、確かにこのカメラの素子は受け止めた色彩をきちんと取り込んでデータ化してくれます。しかし、ディスプレイの設定が究極的にそれに追いついていないです。同じOLEDパネルを採用するSamsungのGalaxyシリーズではきちんと再現されるトーンが、このLeitz Phone 1のディスプレイでは黒潰れして表示されてしまいます。

なぜこの機械で撮って他社の機種でDNGデータを見たら、潰れたと思った色がきれいなグラデーションでしたみたいなことが起こるのかという話で、ここのところが本当にシャープの能力不足を実感させられて残念な気持ち。カメラの素性がよくても、今は宝の持ち腐れです。

その点において、記憶色を再現する能力を秘めているけどそのままでは再現できない、という状況が今のディスプレイとファームウェアの現状です(※ファームウェアアップデートで調整は可能なはずですが、シャープの担当者がそれをやる気があるかどうかですね)。単純に考えて焦点距離19mmのカメラとしては非常にモノはよく、写真を撮ろうという気持ちの切り替えも、一眼カメラではごく自然な〝キャップを外す〟という動作から沸き起こってきます。

HuaweiのときはLeicaの監修がかなり厳しく、ディスプレイの色の再現性や正確さまで徹底して怒られたという話を聞いています。そのかわり、Huaweiの頭文字から取った〝SUMMILUX-H〟という専用レンズシステムが開発されました。そして、この取り組みはHuaweiのスマートフォンのクオリティを向上させ、カメラもディスプレイも、そして性能と価格もよいスマートフォンとして一時は世界を圧巻したわけです。まあそれで米国がビビって制裁を加えて陥落したわけですが。

そういう成長が、今の地に墜ちている状態のシャープにも起こりうるのかどうか、この機種でかなり考えさせられました。今のところ、このクオリティではLeicaの名にも傷が付くのではという心配をさせられます。

ぼくが昔、とあるメーカーのノートPCを監修していた際、ディスプレイの開度からキーボードの反発力、ポインティングデバイスの位置関係など様々な細かい点にダメ出しをしていて、開発側からは当時そのような考えがなかったので非常に刺激になった、とのちに言われたことがあります。そういう、外部からの意見をシャープには是非とも聞き逃さないでほしい。せっかく名門のLeicaが監修に付いたのですから、この機会に今一度きちんとしたスマートフォンを作れるんだぞということを世界に証明にしてみてはどうでしょうか。

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