Home

年初なのでUMPCと携帯電話の話をしよう

Date.
2022-01-03
Category.

去年はOneMix 3S、その前はMagic-Ben MAG1だったので、今年はMAG1の近況についてお話ししていきましょう。

画像

また、今年は1月4日にBlackBerry OS搭載のBlackBerry端末がBlackBerry Internet Services (BIS)の終了によってすべてのサポートも終了したわけなので、ではAndroidベースになったBlackBerryの現状がどうなっているのかについてもお話ししていきましょう。

2年前から停滞するUMPC市場、その現況について

コロナ禍はUMPC市場にも大きく影響を与えていて、プロセッサやグラフィック周りの刷新でゲーミング方向に舵を取ろうとしているものの、その実この2年間、根本的なハードウェアとしてはあまり進歩していません。

画像

Magic-Benを開発していた、广州增贺电子商务有限公司はすでに会社を清算しているようで、MAG1は1世代で終了、サポートサイトもすでに閉じられている状況です。今は古参のGPDとOne-Netbookが頑張って下支えしている状況。

一方、PC市場全体ではWindows 11の登場によって活気づいている面もあり、ハイパワーでグラフィック面も強いAMD Ryzenが大きく躍進しています。

Windows 11は元々、厳格な要件の下アップグレードプロセスが進行する予定でしたが、現在は公式にレジストリハックによるインストール要件の緩和などが推し進められ、広く一般のPCに導入できるようになりました。

世にリリースされるUMPCは未だWindows 10プリインストールが多いのですが、今回はMAG1にWindows 11を導入して、昨今の状況を探ってみましょう。

MAG1にWindows 11を入れてみよう

MAG1のファクトリーイメージやドライバ類は、インターネットアーカイブに残されており、ここからBaidu Yunというクラウドストレージへのリンクが見つけられます。何かあったときに必要なのは、1の〝系统下载〟と14の〝整体驱动包下载(集合包)〟です。前者がWindows 10のリカバリイメージで後者が2~13までの全ドライバをまとめたものです。1はまあもうWindows 10は要らないのでともかく、14はBaidu Yunへの登録が少々面倒くさいので、筆者のOneDriveにミラーを残しておきます

Windows 11はISOイメージをダウンロードして、『Rufus』でUSBメモリに焼き込むのがもっとも手軽にインストールできる媒体を作る方法だと思います。これを使ってUSBブートでクリーンインストールすればよいかと。アップグレードインストールの場合は、Microsoft公式のレジストリハックを行ってから、Windows 11 Media Creation Toolを使った公式のアップグレード手順を行います。

タッチパネル、指紋認証、加速度センサー、Intel DPTF、キーボードファームウェアの5種類がWindows 11側から正しく認識されていないはずなので、インストール後にドライバを入れてあげてください。4Gモデルだと4Gモデムのファームウェアとドライバを、Lenovoから拝借する必要があるかもしれません。

デバイスマネージャから不明なデバイスが駆逐されていればOKで、それでも駄目ならハードウェアIDなどを見て適切なドライバを探しましょう。

と、実際やってみるとすんなり導入できて快適なので、UMPC界でもWindows 11で盛り上がっていってほしいですね。

画像

ただ、今ひとつぱっと盛り上がらない理由なんだろうなというのはあって、iPad miniです。MAG1とiPad miniはほとんどサイズ感が一緒なので競合します。現代ではフル機能のPCだというのが強みにならなくなってきているので、第6世代のiPad miniが出たことによって、結構人が流出してしまったのではないかと思います。

その結果、10インチクラスの大きめのUMPCがたくさんリリースされるようになり、でもこういうのを買う人は金額は関係ないので(そして可処分所得が多めなので)、どうせ同じサイズならしっかりしたものをとLet'snote RZシリーズなどを買うようになってしまったという感じでしょうか。

古く由緒あるBlackBerryの話

2022年1月4日、携帯電話としての音声通話およびショートメッセージ(SMS)を含むすべての機能がサポート対象外になった、BlackBerryという過去には栄光を極めたハンドヘルド端末があります。米国第44代大統領 バラク・オバマ氏の愛用した携帯電話でもありました。

なぜ携帯電話の基本機能まで機能停止に至ったのかというと、BlackBerry OSは強固なセキュリティをエンドツーエンドで保つため、携帯電話キャリアが専用のBlackBerry Internet Services (BIS)というプランを提供しなくてはならず、この障壁があって日本ではドコモからしか端末がリリースされなかったりがありました。このBISが全世界で1月4日をもってシャットダウンされたため、すべての機能が利用できない〝文鎮〟ができあがったのです。

BlackBerry OSは古くはSymbian OSなどと競合して発展してきた経緯を持ち、現代のiPhoneやAndroid端末ほどオープンな思想がありませんでした。

BlackBerryの開発元であるRIMもそれは分かっていて、過渡期にはAndroid OSベースのBlackBerry端末を提供したりしていましたし、売り上げ低迷など様々な要因でハードウェアを作ることに限界を感じてからは、中国TCLにBlackBerryブランドを貸し、RIM自体はソフトウェアを作り続けることで〝強固なセキュリティのあるAndroid〟という難題に挑戦しようとしたりしていました。

このパートナーシップでも結果的にうまくは行かず、2020年8月31日をもってTCLとの提携を解消し、BlackBerryブランドの製品とサービスの終了という方針が打ち出されました。

最後の製品となったのはBlackBerry KEY2シリーズ(KEY2 LEが最後)となり、本格的なQWERTYキーボードを持つ携帯電話端末は事実上の絶滅を迎えました。なお、現段階では中国UnihertzがTitanシリーズというQWERTY端末をリリースしていますが、BlackBerryのように強固なセキュリティというものを目指しているわけではなく、方向性は異なります。

画像

過去、一般にインターネットなどなかった時代からQWERTY搭載という異端の端末は綿々と作り続けられ、今に至ります。写真は過去、ぼくが個人的に印象的だった端末3種です。

PalmOS搭載のSony CLIE TG50は、Palmの中でもほぼ唯一のハードウェアQWERTYキーボード持ちの端末でした。入力のやりやすいGraffitiというソフトウェアキーボードがあるにもかかわらず、QWERTYで入力するという強い意志が特徴です。

Windows Mobile搭載のPalm Treo Proは、当時としては洗練されたデザインが印象的な端末です。Palmもこのころには落葉期を迎えており、散る寸前の最後の底力でリリースされたというイメージがあります。非常に打ちやすいQWERTYキーボードを備えており、評判のよかった端末でした。

そして、Android OS搭載の我らがBlackBerry KEY2です(SAMSUNGロゴステッカーはネタでつけました)。後継機のKEY3が出る可能性は潰えてしまいましたが、DTEK by BlackBerryという強固なセキュリティシステム(2022年8月末までサポート)を備え、今も権限昇格などの脆弱性が見つからず、rootどころかブートローダのアンロック手段すら見つかっていないので、カスタムROMなどによる延命が不可能です。

端末の発売時期は、2003年から2018年までと結構な年数の開きがあるのですが、基本的なフォームファクタはあまり変わっておらず、ある程度固定されたUXがあります。これは現在のUnihertzの製品でも同様です。

Unihertzは現在、Titan PocketというQWERTY端末をリリースしていて、いまの最後の牙城でもあります。買い支えていきましょう。

まとめ

ということで、事実上の年始1発目のエントリとしては定番のネタを取り上げました。Windows 11で動くUMPCは快適で、これから移行が進んでいくかと思いますがそれほど高いリスクはなく移行されていくのでしょう。ゲーミング方面でもWindows 11のほうが有利でしょうから。

UMPCに明るい話題として、昨年には秋葉原にUMPCを専門に扱う『ハイビーム』というショップがオープンしました。秋葉原というか末広町エリアですが、たいへん熱意のあるお店なので頑張ってほしい。

BlackBerry OSの終焉については、何もかも駄目になってしまうという論調が多いので、できる限り事実を述べるよう心がけました。まだすべてのデバイスが終わったわけではないので。どちらかというと3Gが終わる(停波する)のと同じようなことではあるんですよ。事実、サポートから外れるBlackBerry端末にも3Gのデバイスが多いですしね。

QWERTY端末に関しては増えてほしいですし、ニッチでコアな需要があるので新規参入でもチャンスはありそう。メーカーさんいないですかね?

ソーシャルメディア

Backspace Dev-Team 公式
@Backspace_Dev

お問い合わせ

このWebサイトについてのご意見・ご感想、記事についてのご質問、または執筆のご依頼などございましたら、こちらへお問い合わせください。

広告について

このWebサイトでは、Google Adsenseによる自動広告を実施しています。